不幸
ungluecklich

z.B. 歌曲集『冬の旅』

 全24曲からなるこの曲集は、絶望に打ちひしがれたり、希望のほのかな光を感じてみたり、感傷的になったり、怒りを感じてみたりと不幸の階梯のあらゆるレベルを行き来します。
 フランスの映画監督、ブノワ・ジャコがインタビューに応えて興味深いことを言っています。シューベルトにぴったりあてはまる言葉ではありませんか。

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パトリス(Interviewer):では、映画におけるあなた自身の哲学とは何でしょうか? つまり、バンジャマン・コスタンは「愛して逆に愛されないのは大きな不幸だ」と言っていました。しかし、誰かに愛されているのに、その人を愛せない、なぜならその人をもう愛していないからというのは、さらに大きな不幸ですね。
ブノワ:そうですね。そこには不幸の階梯のようなものがあり、私たちはそのどこかに属しているわけです。しかし物事の本質にあるのは、男と女の関係です。世界のどこであろうと、またどの時代であろうと、この関係は不幸へと至るものなのです。そして人間のあらゆる行為は、この不幸を忘れる、遠ざける、あるいは避けようとするのです。これが多少の違いはあるにせよ、物事の本質なのだと誰もが知っています。もちろん、これが転じて喜劇になることもあるでしょう。大変心地よく、そう、幸福の雰囲気に包まれることもあるでしょう。それは甘美なものです。しかし、常にこの不幸という面を考えなくてはなりません。そしてそれは、場所、時代を問わず、男と女の関係から生まれる不幸なのです。(NHKテレビ フランス語会話7月号テキストより)